木霊 (TARUSU)
森林施業研究会ニュ−ズ・レター 
No.31 2006.3.3.
Newsletter of the Forest Management and Research Network


林業は本当に自然環境を壊してはいないか?
環境に負荷を与えることなく、持続的な林業経営が実現されているのか?
現代林業は自然環境の保全に貢献していると言えるのか?

第11回森林施業研究会シンポジウム「改めて、林業と自然保護問題を考える」に参加を!

白神、知床の伐採問題を契機に実現した林野庁の保護制度の見直しから16年、今や白神、白床両地域は「世界自然遺産」に登録され、林業と自然保護の対立軸は解消されたかに見える。しかし、現実はどうなのか?改めて、「自然保護と林業」問題を林業・森林管理に関わる者の立場から考えてみたい。

研究集会名:第11回森林施業研究会シンポジウム

日時:2006年 4 月4 日(森林学会大会最終日)午前9時〜12時まで
場所:東京農業大学・1号館 314教室

話題提供者そして内容:

(1)茅野恒秀(日本自然保護協会・総合プロジェクト担当)
*自然保護活動の最前線−赤谷プロジェクトのとりくみから−

「林業と自然保護に関する検討委員会」以後、国有林においては保護林の再編や緑の回廊などの諸施策が打ち出されてきたが、この間の自然保護活動を振り返りつつ、2004年に協定を締結した「赤谷プロジェクト」でのとりくみから、森林にかかわる自然保護活動の最前線とそこでの課題を紹介したい。

(2)中岡 茂(森林総合研究所研究管理科長、前東北森林管理局計画部長)
*林業再生と自然保護は調和する

この50年間針葉樹人工造林を続けてきた日本林業は、外材との価格競争と性能比較に敗れ、衰退した。この林業を再生するためには、徹底したコスト削減と将来的なリスクを分散させる多様な樹種の育成が必要である。すなわち、自然力を最大限に生かした天然更新の活用と生産基盤施設となる林地の保全に配慮した作業路網の充実が不可欠となる。可能な限り潜在植生に近づけた状態で行われる林業は、自然保護の理念にもかなうものと考えられる。

(3)河野昭一(京都大学名誉教授・IUCN生態系管理委員会北東アジア担当副委員長)
*生態学者がみた日本の森林管理の在り方−自然保護の現状と将来を問う−

日本の原生林は、現在、潰滅に向けてひた走りである。保護・保全の現状と、環境モニタリングの重要性に関して、その役割と意義を考える。

 

連絡先:大住克博(森林施業研究会事務局)
京都市伏見区桃山町永井久太郎68番地 森林総研・関西支所
TEL:075-611-1201
e-mail:osumi@ffpri.affrc.go.jp

今年も全国交流会を予定!

森林施業研究会シンポジウム前夜、恒例のシンポジウム参加者・話題提供者の交流会(世話人会)を予定しています。開催場所、時間以下の通りです。参加希望の方は事務局までご一報を!後日、詳細をご連絡いたします。

天ん洋
東京都世田谷区経堂3−2−11
TEL 03-3426-1129
小田急線「経堂」下車、徒歩3分、駅から西通り左手の白い看板が目印
URL http://www.gurupita.com/clients/0002112886/
時間は午後6時30分より。会費は5000円です。

交流会担当連絡先:正木隆(森林総研)e-mail:masaki@ffpri.affrc.go.jp

米国ウイスコンシン州の林業事情(2)

―Northern Highland American Legion State Forestの天然林施業―

                           鈴木和次郎(森林総研)

Northwoodsへ

 Spring Green よりStevens Pointに戻り、さらにWisconsinの北部を目指す。Wisconsin州北部は、氷河の影響を強く受けた地域で、5大湖の一つスペリオル湖に至る地域は、無数の大小の湖沼が点在する風光明媚な湖水地帯である。そうしたことから、隣接の南部各州からは夏に大勢の観光客が避暑に訪れる一大観光地でNorthwoodsと呼ばれているという。今回の調査、視察には、Wisconsin 大学のRogers先生が同行した。Stevens Point からおよそ100kmのTomahowkの近くにあるTreehavenに向かった。Treehavenは、Wisconsin大学自然資源学部の研究・教育施設(写真1)で、日本でいう大学演習林に相当する施設であるが、独立性も強く、大学の野外調査実習のみならず、子供たちから林業者まであらゆる森林・林業に関わる教育・研修を行っているという(Treehavenの地所は民間人の寄贈によるもの)。


写真1 Treehavenにあるウイスコンシン大学自然資源学部の演習林

丁度、Summer schoolと呼ばれる学部学生を対象とする野外実習を中心とした特別授業が行われており、多くの学生や教官たちが集まっていた。Treehavenのゲストハウス、White Pine Lodgeに荷物を置き、早速、アメリカハナノキの林分調査に出かけた。この演習林はかつて見渡す限りの山火事跡だったのだが、戦後にアカマツの一大造林が行われ、現在は50年生の人工林となっている。ところが、ここでも針葉樹人工林の積極的な経営が取り組まれている様子は無い。地形が平坦な上に、高密度の路網は整備され、経営基盤はしっかりしているのだが、演習林という性格か、むしろ広葉樹を導入し、多様性の高い森林造りを目指しているようにすら思われた。また、それを可能とする条件が整っているともいえる。すなわち、アカマツを主体とする人工林の林床には多数のハナノキ更新木が存在し、また、ポプラ(Balsam poplar: Populus balsamif)の根萌芽は極めて旺盛である(写真2)。調査を行った緩やかな丘陵地に成立する広葉樹二次林(山火再生林)は、Spring Greenとは幾分異なり、Red maple ほか、Sugar mapleやYellow birch(ミズメの仲間)が混じる。


写真2 Treehavenの中のRed pineの人工林、林床にはRed mapleの更新木が密生する。

North Central Research Stationを訪ねる

 翌日、州有林管理事務所を訪ねる前に、Northwoods地域内にあるUSDA Forest Service(アメリカ山林局)の中北部林業試験場のForest Sciences Laboratory(FSL)に立ち寄った。対応してくれたのは、所のDr. Nell Nelson 他2名の研究員、この研究施設では、主に北方林構成種の成長や生理特性の研究が行われており、現在はFACE (Aspen Free-Air Carbon and Ozone Enrichment) Projectで、CO2がらみの野外実験を大々的に行っているという。日本との関係で言えば、かつて、北海道の王子製紙と共同でドロノキの品種改良に取り組み、品種交配により生物生産量の高い品種改良に成功しているとのことである。施設内には、様々なタイプの人工気象室が設けられ、栽培試験が行われていた(写真3)が、落葉広葉樹の生理生態的研究が主な仕事で、森林管理・施業についての研究が積極的に取り組まれているといった雰囲気は見られなかった。人里離れ、こじんまりとした、さして機密性の高い施設でもないのに、入構証などの手続きがやたらうるさいので、尋ねてみると、苦笑いしながら、政府機関は、すべからく反テロ対策の一環として、こうした処置が取られているとのこと。なるほど、日本も、アメリカのこうした処置に追随しているのかと妙に納得した。


写真3 アメリカ山林局中北部試験場で行われているポプラ類を中心とする生長生理の試験。

Northern Highland American Legional (NHAL) State Forest

 FSLを後にして、いよいよ、北方広葉樹林施業の現場見学に向かった。この地域の州有林(American Highland Legional State Forest)を管理する森林管理事務所を訪ね、資源管理官のJeffrey Olsen氏の出迎えを受けた(写真4、5)。


写真4 American Highland Legional State Forestの管理事務所。


写真5 資源管理官のJeffrey Olsen氏の説明を聞く。

NHAL State ForestはWisconsin州最大の州有林で、今年は州有林設立100年周年に当たり、様々な行事が行われているという。管理事務所の建物も、1920年代に建てられた3階建ての立派なもので、署員は歴史的な建物で仕事をするのは誇らしいが、使い勝手は少し悪いと笑っていた。NHAL State Forestの総面積は90,000haで、ほぼNorthwoods全域を所管している。American Legional State Forestの設立当時、この周辺のほとんどの山林は、山林伐採と火入れによって荒廃し、無立木化(写真6)していたというが、その後、大規模な植林が行われ今日に至っているという。


写真6 AHL State Forrest設立時の周囲の状況。

現在の資源状況は、森林面積比でAspen (主にPopulus balsamif、34%)、 Red and White Pine (アカマツ・ストローブマツ12%)、 Red Oak (Quercus rubra 8%) 、Northern Hardwoods (カエデ、シナノキ、カンバ類 8%)などで、13%の無立木の湿地により構成されている。NHAL State Forestの経営は、レクリエーション利用、木材生産、野生生物の生息場所保全、水質維持など多面的な機能発揮を図る持続可能な森林経営を目指すとしている。そのために、経営計画が立てられ、森林の機能区分とそれに基づく経営管理が実行されている。ここで特徴的なのは、木材生産以外に多様な機能発揮を謳いながら、木材生産を主目的とする森林面積が70%を占め、自然維持を目的とする森林面積(20%)、レクレーションを目的とする森林面積(3%)を大きく上回っていることである。こうした森林の機能区分の背景としてあるのは、一つに林業がこの地域の主要な産業であり、林業活動がその他の森林の持つ多面的機能低下につながるものではないという考え方があること、さらに森林自体が二次林化、人工林化して、成熟した天然林(老齢林)の面積が著しく少ないこと(130年生以上の森林面積はわずかに3%)が挙げられよう。将来的には、ポプラ林の面積を幾分減らし、マツ林を増やす一方、老齢林を13%までに引き上げる計画が立てられている。

管理事務所の庁舎を案内してもらうが、もっとも目を引いたのが山火事対策である。しばしば大規模な山火事が発生するようで、相当神経を使っていることが分かる。管内には幾つかの見張り小屋が設置されており、山火事の監視が行われ、発生時の場所の特定に役立っているとのこと。山火事の原因の多くは、焚き火やタバコの不始末と、万国共通である。

Northwoodsの自然

Olsen氏の案内で現場に向かう。Northwoodsに入り、湿地を横断する道路周辺で度々見かけたBlack spruceの集団枯損が気になり、また、草本性キイチゴのホロムイイチゴの写真を撮りたくて、湿地林を案内してもらった。季節的なものか、Black spruceの林の中は、さほどぬかるんでいることもなく、密生したイソツツジやブルーベリーが茂り、深い泥炭層の上に細いトウヒが密生していた。あれほど丘陵地ではびこっていたハナノキは単木的に生えているに過ぎなかった。ホロムイイチゴは見当たらない。また、Black spruceの集団枯損は、道路建設なので、地下水脈が断ち切られることに原因があるとの説明。続いて、Olsen氏はNorthwoodsの典型的な風景を見せようと、とある湖のほとりに車を停めた。湖の周辺には針広混交林が広がり、水面にはヒツジグサやコウホネなどの水草が繁茂している。そして、岸辺付近に生育しているイネ科植物がWild riceと呼ばれる野生イネだった(写真7)。古来から、この地に住んでいた先住民は、この野生イネを採取、重要な食料として利用してきた。近年では栽培され、自然食として広く流通しているという。熱帯性のイネが北米大陸に分布しているというのもよく理解できなかった。ついでながら、Northwoodsの象徴的な鳥はLoonと呼ばれる水鳥で、この地域の人々にこよなく愛されている。Loonは日本で言うアビで、よく北米の湖沼地帯を舞台にする小説にも登場する。


写真7  Northwoodsの代表的な風景、沼には野生イネが生育している。

Northern Hardwood Forestの施業跡地

 この地域の森林は、無数の湖沼周辺に存在するBlack spruce(Picea marina)の林や一部の老齢林を除けば、基本的には山火事跡に成立した二次林、いわゆる山火再生林である。本来の森林はEastern white pine(ストローブマツPinus strobus)やRed Oakの森であったと考えられるのだが、森林伐採と山火事でそうした資源は著しく減少してしまった。今日、Northern hardwood forestと呼ばれるのは、カンバ類、カエデ類、ナラ類などの落葉広葉樹により構成される二次林である。案内された施業地は、こうした二次林を20年前に群状択伐し、その後成立した再生林で、伐採跡には、主にSugar mapleが一斉更新し、亜高木層を形成していた。その結果、この林分は胸高直径20-30cmのSugar mapleやRed mapleの小径木の林の中に、択伐時に残された60-70cmのYellow birch(ミズメの仲間Betula alleghaniensis)などの大径木が介在する林相となっていた(写真8)。


写真8 択伐後20年を経た林分、残された大径のYellow birchと新たに更新成長したSugar mapleにより構成されている。

この他、Red Oakも若干残存するが、ごく少数の個体に限られる。また、一部尾根部にツガ(Eastern hemlock: Tsuga canadensis)やトウヒ(White sprouce: Picea glauca)も分布する。なだらかな丘陵地帯で、地形は平坦、少し下がると湿地や湖沼に行き当たる典型的な氷河地形である。林床植生は貧弱で、唯一、カエデ類(主にSugar maple)の実生が密生する。土壌は砂質土壌で、地味は決して豊かとは思えないが土地生産性は高いという。さらに施業地には、前回の択伐の際、開設した高密度の作業道網が張り巡らされ、今回計画している第2回目の択伐の際も、有効に活用されるという。先の択伐の際は、ナラ類などを優先的に伐採したのか、もともと少なかったのか、現在も残存個体は少なく、択伐後に更新した様子もない。Red Oakの天然更新施業を専門とするRogers先生、「この地域でRed Oakは絶滅危惧種だ」と笑っていた。ここでも、Lower Wisconsin Riverway同様、野生生物の生息場所を確保するため枯立木や損傷木などは、ペンキでマークされ、積極的に残す措置がとられていた。事業実行に当たってはTimber sale notice narrative(手引き)が定められ、その中で事業目的、生態学的考慮、水質、景観、野生生物、レクリエーションなどに対する配慮が求められている。この施業地における択伐施業は垂直的、水平的な異齢林を造成し、構成樹木の大径化を目指すとしている。いわば長伐期の複相林施業といったところだろうか。Rogers先生は、この林分のYellow birchのサイズの大きさに驚き、ウイスコンシン州で、このサイズは見たことがない、立派だとしきりに感心していた(写真9)。


写真9 この地域の有用広葉樹の一つYellow birchの大径木の前で。

Northern Hardwood Forestの施業地

 資源管理官のOlsen氏が案内してくれた二つ目の施業地は、前の冬に伐採されたばかりの施業地である(写真10)。


写真10 Aspenを集中的に伐採した施業地。択伐といいながら小面積の皆伐状態になっている。

いわゆる復命書によれば、林齢74年、伐区面積76エーカー(約30ha)で、区内のAspen, White birchその他の広葉樹が伐採対象となって、伐採率はおよそ50%であった。林相は先の施業地と似ているが初めて択伐が入ることもあって、樹種組成は多様であった。ただし、この林分もかつて皆伐が行われ、その後、萌芽によって更新再生した二次林で、伐り残された樹木も株立ちのものが多い(写真11)。


写真11 ほぼ材積比で50%の択伐が実施された林分。元々は75年生の萌芽再生林で、株立ちの木が目立つ。

今回の択伐の狙いは、伐採により収穫を確保しつつ、跡地にYellow birchの更新を図ることであるという。したがって、母樹となるYellow birchを保残し、Aspen(Populus balsamif)を始めSugar mapleやBasswood (アメリカシナノキTilia americana)などの落葉広葉樹が伐採されていた。しかし、林分における構成割合を下げようと伐採したAspenは、その意図とは反対に、ルートサッカー(根萌芽)により、伐採によって空けられ、光環境の好転した場所に繁茂する結果となっていた(写真12)。


写真12 伐採後に、根萌芽による再生が著しいAspen。

また、シナノキの伐根からは既に萌芽枝が多数発生し、さらに林床に多数存在したSugar mapleの前生稚樹が成長を開始して、Yellow birchの密度の高い林への誘導は難しいように思われた(写真13)。


写真13 Sugar mapleの前生稚樹は伐採による林床の光環境の好転にともない旺盛な成長を開始する。

実際、期待したYellow birchの実生を施業地ではほとんど見ることが出来なかった。その理由の一つに、伐採が林地保全上の理由から冬季の積雪期に行われ、伐採・搬出時に地表がほとんど撹乱されていないことが考えられた。Olsen氏にこのことを聞くと、カンバ類の更新には地表が撹乱され鉱物質土壌が表れることが重要なのはわかっており、そのために地掻きなどの更新補助作業が必要なのだが、予算が付かず、実行出来ないという。とは言うものの、このNorthwoodsでは日本と異なり、雑草木がはびこり更新不良地が生まれるという訳ではない。こうした施業後に成立する二次林であっても、Sugar mapleやBasswoodなど有用広葉樹を多く含み、林業的には十分に価値があるようだ。ただし、かつてのRed oak、 White oakそしてYellow birchなどの大径木からなる本来の北方広葉樹林を再生することは出来ないでいる。Rogers先生がOlsen氏に、州政府は林業収入の確保を強く求めているのかと聞くと、彼は一瞬、表情を曇らせ、林業は収益性が高いので、州政府からは伐採量の拡大を強く求められ、資源量の減少が危惧されると答えていた。林業が成り立つということは逆に伐採圧力が強まり、資源の減少につながってゆくということもありうるのだ。Olsen氏から提供された立木販売の入札予定価格を算出した書類によると、平均材価は27US$/MBF(およそ2.36m3に相当)、価格の高いのはHard maple (Red mapleの別名)で165US$/MBF、アメリカシナノキで91US$/MBF、ちなみにパルプ用のAspenの価格は31US$/MBFと見積もられていた。この価格が高いと見るか安いと見るかは判断できないが、いずれにせよ、ウイシコンシンではこの価格で確かに林業が行われているようであった。

Menominee Forest そしてOak2006

あまり知られてはいないが、Wisconsin州は林業地帯であり、産業に占める割合も高い。実際、かつてWisconsin川流域では数多くのSawmill すなわち製材所が操業をしていた。また、今回は時間がなくて訪ねることは出来なかったが、ドイツのDauerwaldとともに、Sustainable managed forestのモデル林として有名なMenominee Forest(Green Bay)のあるところでもある(写真14)。


写真14 150年にも渡って持続可能な林業経営を行っているMenominee ReservationのEastern white pineの森
(1909年撮影:「Indian Nations of Wisconsin (Patty Loew著)」より)。

このMenominee Forestは、150年以上に渡って、アメリカ先住民の一部族、Menominee族が持続的な林業経営を行っているEastern white pine (Pinus strobus ) を主体とする老齢林であり、周辺の森林が蓄積を落とす中で、今なお資源量を維持し、収穫の保続を実現している。こうした5大湖周辺の森林・林業を知る機会をなかなか持つことは出来ないと思われるが、今年、10月、IFUROの国際ワークショップがWisconsinで開かれるので紹介しておこう。これはOak(ナラ類)の遺伝・育林部会のワークショップで、先のウイスコンシン大学のRogers先生らがホストとなって、まさにStevens Pointの自然資源学部で開催される。研究集会前後には周辺の森林・林業を視察するエクスカ−ションも計画されている。詳しい中身はわからないが、おそらく私たちが調査して歩いたLower Wisconsin Riverway, Treehaven, American Highland Legional State Forest,そしてMenominee Forestを訪れることになると思われる。もし、興味のある方は次のホームページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。

http://www.uwsp.edu/forestry/oak2006

最後に、今回の調査・視察旅行をアレンジし、様々な便宜を図っていただいたウイスコンシン大学のRobert Rogers先生、そして快く自宅に迎えてくれたRogers夫人にこの場を借りて御礼申し上げる(写真15)。


写真15 Stevens Point 滞在中お世話になったRogers教授夫妻(自宅前で)。

<編集後記>

 時代の寵児ホリエモンが証券取引法違反で捕まった。風説の流布とか自社の新規公開株式の投資組合を使った売却、還流、そして粉飾決算。資本主義の仕組みをよく理解できない小生には、ホリエモンの行為の何が犯罪なのか分からない。別にライブドアの錬金術を弁護するつもりはないが、それならば投機的な資金運用で、世界の経済を混乱させ、利益を得ているヘッジファンドなど極悪非道の犯罪者集団の極みではないかと思え、何ともスッキリしない。キツネとタヌキの騙しあいのようで釈然としない。そんなことを話題にしていたら、国有林に働く友人の一人が自分にもスッキリしないことがあるという。それは現在、職場で浸透しつつある次世代標準(?)の間伐法、列状間伐(強度間伐)だという。徹底した機械的間伐は、これまでの経験や勘に頼る選木を必要とせず、間伐の作業効率を高めて間伐コストを大幅に下げ、機械化の推進は労働安全の向上につながり、しかも、間伐木には確実にある割合(つまり間伐率に相当する)の良質材が含まれ、収益増にもつながり、これまで遅々として進まなかった間伐を一気に進めることが可能になったというのである。通常の間伐であれば、収益の確保を図れば、良質材だけが選択的に抜き伐りされるが、完全機械間伐ではこうした問題が生じないというのである。しかし、何かおかしいんだよねと・・・・。さあ、何が変なのだろう?これまでの技術への単なるこだわりなのか、はたまた、どこかに大きなまやかしが隠されているのだろうか?小生もこの究極の間伐法に違和感を持つものも、明快な評価を下せなかった。間伐は、将来の山造りにつなげる保育作業の一つ、その結果(成果)は、50年後にハッキリするだろうとしか言いようがない。でも、その時はだれも責任を取ることなく、次世代がそのツケを(あるいは成果を)引き受けることになるのだろうね(狢)。

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