木霊 (TARUSU)

森林施業研究会ニュ-ズ・レター  No.55  2012年8月29日
Newsletter of the Forest Management and Research Network


目次

2012年森林施業研究会現地検討会(只見合宿)案内

【日程】2012年9月22日(土・秋分の日)~ 9月24日(月)

【行程】*現時点の予定です。今後、部分的に変更されることがあります。

22 日(土曜日・秋分の日)

11:50 集合 会津鉄道会津田島駅

浅草駅08:00発(北千住08:10発)の東武特急(要特急料金)きぬ108号に乗車し、途中鬼怒川温泉で乗り換えが便利です。

13:30~ 只見町ブナセンター

ブナセンター講座「ナラ枯れの原因と対策」 齋藤 正一(山形県森林研究研修センター)。修了後、「ブナと川のミュージアム」見学

17:00 深沢温泉(入浴)

18:00 「森林の分校 ふざわ」(宿泊場所)着後、食事

19:00~セミナー

「只見の自然と暮らし」新国 勇(只見町ブナセンター)

参加者による話題提供

宿泊場所「森林の分校 ふざわ」( http://www.fuzawa.jp/ )

23日(日曜日)

8:30 分校ふざわ出発

9:00 叶津川「木の根沢ブナ天然林」見学

11:00 蒲生川の「ブナあがりこ林」見学

昼食

13:00 黒沢の「コナラあがりこ林」見学

15:00 杉沢の「ユビソヤナギ林」(新潟大学試験地)見学

16:00 「湯ら里」(入浴)

17:00 分校ふざわ着

19:00~ セミナー

「只見町のユネスコエコパーク構想」(只見町ブナセンター)

その後、参加者による話題提供

宿泊場所「森林の分校 ふざわ」( http://www.fuzawa.jp/ )

24日(月曜日)

8:30 分校ふざわ出発

9:30 「本名スギ天然林」見学

正午ごろ 解散 会津鉄道 会津田島駅

【参加費】20,000円程度(予定)すべて宿泊費+現地での交通費です

【その他】

【参加申し込み先】*9月5日締め切り

森林総合研究所 太田 敬之

Tel: 029-829-8223
E-mail: takaota@ffpri.affrc.go.jp

 

只見合宿へのお誘い

只見町ブナセンター 鈴木 和次郎   

相次ぐ災害に見舞われた只見の自然と人々

 今年の森林施業研究会現地検討会(通称合宿)は、ユネスコエコパークの登録を目指す只見町で、「自然環境(森林)と地域振興を考える」をテーマに開催します。

 2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く大津波、そして福島第一発電所の事故という未曾有の大災害の中にあって、福島県の西の外れ、新潟県境の只見町は、地震・津波の直接的影響や深刻な放射能汚染を免れたかに見えたものの、放射能の風評被害にさらされ、さらに山菜・キノコ、淡水魚の汚染も確認されるに至っています。また、昨年7月末の新潟・福島豪雨では、降水量は3日間で750mmに達し、只見全町に避難命令が出される事態になりました。河川の氾濫、がけ崩れが各所で発生し、道路、鉄道は寸断され、多くの家屋、農耕地が大きな被害を受けました。

 町の総面積7万5千ヘクタールのほとんどが森林によって占められ、そのうち実に4万ヘクタールが原生的な自然環境にある只見町で、このような自然災害が起きたことに、住民は少なからず衝撃を受けました。しかし一方で、こうした自然環境の存在が災害を最小限度にとどめ、地域の豊かな生活・文化・伝統を支えてきたことも再確認しています。

ユネスコエコパーク登録への取り組みが進む

  過疎・高齢化と人口減少が進み、地域社会の衰退と崩壊への道を辿る中で、今、只見町は、ブナ林をはじめとした貴重な自然環境を保護・保全し、次世代に引き継ぐと共に、こうした自然環境と密接に結びついた人々の暮らしを守り、地域の振興・発展につなげていこうと、ユネスコのMAB計画の生物圏保存地域(呼称ユネスコエコパーク)の登録申請に向け、具体的な検討を進めています。ユネスコエコパークは、地域の土地利用区分によって、自然環境の保護・保全を図り、あわせて地域の資源を持続可能な形で利活用し、もって地域の社会・経済の発展(地域振興)を図る目的で設定されるものです。いわば、衰退する中間山地の地域活性化の切り札、実験的な取り組みともいえます。

只見町の自然環境

あがりこのコナラ
牧平あがりこのコナラ

本名スギ天然林
本名スギの天然林

 只見町の特徴は、比較的低標高で、日本有数の豪雪地帯に冷温帯林が広域に分布することです。その結果、中間斜面は雪崩により表土が削り取られ、岩盤が露出し、草付きあるいはミヤマナラ、マルバマンサクなどの矮生林が広く分布します。またやせ尾根にはキタゴヨウ林が、そして狭い谷底氾濫原には中間斜面から追いやられたブナ、そして渓畔要素であるトチノキ、サワグルミが混交林を形成するのが、この地域の代表的な自然景観です。一方、集落周辺では、薪炭林利用の下で形成された「あがりこ林」などの二次林も見られます。かつての茅場はスギの人工林に転換されましたが、今では用途を失って放置状態にあります。こうした資源の有効利用も、この地域の大きな課題です。

合宿の概要

 「只見合宿」では、まず、只見地元から「只見の自然と暮らし」そして「ユネスコエコパーク」の取り組みを紹介いたします。また、只見の代表的なブナ天然林とその利用の結果であるブナ、コナラのあがりこ二次林、さらに藩政時代より伐採履歴のある本名スギ天然林の現地検討会を予定しています。さらにあがりこコナラ林のナラ枯れから守る事業見学、そして最新のナラ枯れ対策技術の講演会と盛りだくさん(何でもあり)の内容です。

  只見は地の果て、公共交通機関はありません。コンビニもありません。それでも、来ていただけるのであれば歓迎いたします。Wilderness Tadami(PDFファイル)での合宿へ!

只見町ブナセンターへのリンク:http://www.tadami-buna.jp/

 

編集部より

 本研究会の出版いたしました「主張する森林施業論」の内容の訂正のお知らせをホームページ(表紙)に加筆をいたしました。購入された方はご覧いただければと思います。

 

<編集後記>

 前報の発行が遅れたため、わずかの期間で模様替えとなった。時間に余裕のある方は、是非前報も読み返していただきたい。

 今年の現地検討会は福島県只見町で行われる。森林に関する会議も最近はリゾートホテルのような場所で行われることも珍しくはないが、今回の宿泊先は森の中の廃校になった小学校を改造したものである。近所にはコンビニも飲み屋もない。「田舎」を堪能したい方は是非ご参加を。

 

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