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代表あいさつ

現場からの林学の火を点しつづけます

長野県林業総合センター 小山泰弘

1996年に発足した、森林施業研究会の5代目代表に就任させていただくこととなりました長野県で林業専門技術員をしている小山泰弘です。本来であれば、3月に開催する予定であったシンポジウムにおいて、岐阜県森林文化アカデミーの横井秀一氏から代表のバトンを受け継ぐ予定ではありましたが、シンポジウムの中止ということで、ネット上でのご挨拶という形になりましたことをまずはお詫びさせていただきます。

森林施業研究会では、日本林学会(現 日本森林学会)でも話題となっていた「林業と林学の乖離」から脱却し、現場目線で森林管理・林業経営の基本となる「林学」を復権させることを念頭に、日本林学会の関連集会として、森林・林業の現場が直面する重要課題について、森林施業の側面から議論するシンポジウムを開催し続けてきました。さらに、座学よりも現場を見て議論すべきではないかということで、1998年からは森林施業の現場を見ながら夜通しで施業のあり方を検討する現地検討会を開催してきました。

森林施業研究会が発足した当時はまだ駆け出しの研究職員として林学会へも参加が難しく、1998年に開催された現地検討会もご案内はいただいたのですが、上司の理解が得られず、参加が叶わなかった私です。幸い、2001年の富山合宿を皮切りに可能な範囲で参加させていただくようになりました。学会に併せて開催するシンポジウムにも参加できるようになり、全国の分野を超えた多くの研究者が集まり、喧々諤々の議論を聴く中で、自分の頭を整理する良い機会とさせていただいております。また、秋に開催する現地検討会では、様々な現場での昼夜を問わない議論が行われ、多くの刺激を受けることで、仕事にも活かされています。

気が付けば駆け出しの研究者であった私も、9年前の人事異動で研究職を離れ、林業普及指導を担当しております。そういう意味からしますと、第一線で活躍中の研究者が歴代の代表として活躍していた先代までとは異なり、かなりの小物になってしまったと思われるかもしれません。たとえ研究職員でなかったとしても、県の林業職員である以上は、林業の現場から離れることは無く、逆に現場の声を聴く機会が増えたと思うようにしております。発足のきっかけとなった「林業」と「林学」の融合に向け、現場目線での森林施業のあり方を徹底的に議論していくというこれまでの姿勢を変えることなく、「まだ林学をやっている」という森林施業研究会のキャッチコピーを誇りとして、邁進してまいりたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いします。